昨日の晩餐です。
これ、なんだか知っていますか?
直ぐに「ほや!」と答えられた人は、おそらく東北の出身(特に宮城・岩手)の方でしょうか。
今日、仕事上の関係者から“ほや”を生の個体のまま頂戴し、さっそく捌いて酒と共に食しました。(酒にあうんです、これが。)
東京・首都圏に流通するようになったのは、まだまだ近年だそうです。
現在でも中部地方以降の以西、南日本では、まだなかなか見かけることができません。
“ほや”は岩手県出身の私には子供のころからの身近な食材でした。
7月〜8月になると、決まって食卓にはこの「ホヤ」がキュウリと共に酢の物として並んでいました。
一見、超!グロテスクですが、皮を外すとこんな感じです。
東北では『海のパイナップル』とも呼ばれていて、独特の味・香りがします。
苦味が強く、その中に甘みもあって、海の塩鹹さと共に味わいます。
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身の部分を掃除して、一口大に切って食べます。
鮮度が落ちるのがとてつもなく早いのがこのホヤの特徴です。さばいた瞬間に食べないと、ドンドン味が劣化してしまいます。
まさか、タイでこの東北のホヤ(正式にはマボヤ)を食べられるとは思っていませんでした。
一週間に幾度か、バンコクへは東京から飛行機で食材が届きます。実はこのホヤも今朝までは「東京・築地市場」にあったものです。
午前の成田発、バンコク行きの飛行機に乗って、タイには夕方16:00頃着。
税関を通って、バンコク市内には18:00頃に到着します。
バンコクの日本料理店では東京と全く同じ時間に、同じ鮮度の食材を手に入れる事が出来ます。
上の写真にもありますが、ホヤの“根っこ部分”は通常は東北でも廃棄する部分です。しかし! 実はここが隠れた珍味です。
固い皮をはぐと、なかには白い塊が入っています。これを薄くスライスして生食します。
食感はまるでアワビそのもの。海の磯の香りがとても強い箇所なので、ちょっと醤油をつけて食べるだけで、バッチリです。
「昔の人は高価なアワビはとても買えないから、代わりにここの部分を食べていた」、とは齢83歳を過ぎた岩手に住む私の祖母・談。
今では、ホヤの個体を手に入れないと、なかなか味わう事ができません。